(115) ガーデンネックレス横浜2018に見る
バラの魅力

バラ(薔薇)は花の女王と呼ばれる存在であり、また居住している横浜市の花にも指定されていながら、これまでこのHPで取り上げていないのは気がかりなことでした。今年の春、横浜市は「ガーデンネックレス横浜2018」と称して、桜(3月下旬~4月上旬)、チューリップ(4月上旬~4月下旬)、バラ(5月中旬~5月下旬)を市内の公園で集中展示しましたので、その機会を利用しバラ園を探訪し、バラの魅力をここに紹介します。

  

 (115-1) 山下公園のバラ
 山下公園は横浜港に隣接する横浜の代表的な公園です。この公園の中ほどにある低床花壇に約190品種、2300株のバラが植栽されました。バラは常設のものの他に、イベント用に特別に植栽されているものも加わり、小輪から大輪の様々な花形の、そして色とりどりとしか言いようがない多彩なバラが咲き競い、花の女王の名に恥じない見事な景観が見られました。
下写真、背後に横浜港に係留展示されている氷川丸が見えます。左はるか後方には横浜港大桟橋が見えます。横浜の表玄関である横浜港に隣接する山下公園は、いつ来ても開放的な明るさと華やかさが感じられる場所ですが、咲き競うバラの花が、華やかさを最高に高めていました。
 
バラは北半球の温帯域に広く自生しますが、中国雲南省からチベット・ミャンマーに至るあたりが主産地で、ここから数千年も前の早い時期に世界に広まり、各地で品種改良と新品種開発が進められ、現在では2万5千種以上の品種があると言われています。

 

   (115-2) 装うバラ

 低床花壇わきにあるテラスの柱に蔓バラが巻き付けられ、日ごろとは違う華やかな雰囲気を醸し出していました。
 バラには木立バラと蔓バラがあり、木立バラは樹高1~2mの低木ですので、高さ方向に景観を作り出すことは限界がありますが、蔓バラは補助材に這わせることでタワーやアーチなどの、高さ方向の景観を容易に作り出すことができます。木立バラと蔓バラの長所を生かし、立体的に広がりのある造園が出来ることが、バラが花の女王となっている一つの要因でしょう。

 

   (115-3) イングリッシュローズの庭のバラ

 港の見える丘公園の一角にイングリッシュローズの庭があり、ここに約150品種、1100株のバラが植栽されていました(左写真上)。この庭ではイングリッシュローズを中心に、シルバーやブルーを中心とした草花による色彩のハーモニーを楽しむことができました。前掲、山下公園の色彩豊かな華やかなバラの雰囲気と一変し、落ち着いた感じのイングリッシュローズの庭は、バラの魅力の奥の深さが感じられました。

 今回のパラ探訪で最も印象深かったものは左写真下の枝垂れバラです。10円玉位の小さいバラの花が枝に沢山咲いて枝垂れれている姿は、バラの樹形の美しさが表れ、バラは花だけでなく自然樹形の美しさを楽しむこともできると知りました。 枝垂れバラは私が勝手に呼んだ名前で、バラ界でそのような呼び方があるか分かりません。バラを手入れされている方に聞いたら、このバラの品種は「ミヤギノ」だそうです。今回のバラ探訪で品種名を覚えた唯一のバラです。

  

(115-4)香りの庭のバラ
港の見える丘公園の一角に「香りの庭」と名付けられた庭があり、ここに香りの強い約100品種、500株のバラが植栽されていました。香りの庭は低床花壇になっており、さらに花壇の周辺を大きく育ったカイズカイブキが囲み、バラの香りを外に逃がさない構造となっています。
 
2万品種以上もあるバラにおいて香りも非常に多様ですが、大きく分けて、ダマスク・クラシックの香り、ダマスク・モダンの香り、ティーの香り、フルーティーの香り、ブルーの香り等、8つのタイプに分けられ、バラの魅力を高めるとともに、アロマセラピーの分野などで重要な存在となっています。

 

 (115-5) バラのフラグラント・シャワー

 香りの庭の中にはたくさんのバラのアーチがつくられており、バラのアーチの中に入るとバラのフラグラントシャワーが降り注ぎます。写真で香りをお伝え出来ないのが残念です。
 バラに限らず、香りが良い樹木や花は多いのですが、バラほど香りを強く意識し深く研究されている樹木は少ないのではないでしょうか。香りもバラが花の女王になっている一要素でしょう。

  

  樹木写真の属性
 樹  種 バラ(薔薇) [バラ科バラ属]

(「樹木の見所」のページにリンクしています)
 樹木の所在地 横浜市中区山下町279 山下公園
横浜市中区山手町114 港の見える丘公園  
 撮影年月  2018年5月16日
 投稿者 中村 靖  
 投稿者住所 横浜市都筑区中川中央
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