(67) 桂の木の謎を解き明かす
島根・温泉津町大元神社跡の巨大カツラ

 島根県大田市温泉津町の山中の大元神社跡にカツラ(桂)の巨木が立っていますが、桂の木には二つの謎があります。一つは日本各地に見られる桂の巨木の多くが株立ちになっていますが、なぜ桂は株立ちになるのか。いまひとつは”たたら”の神様 金屋古神の御神木とされるのはなぜか、です。温泉津町大元神社跡の桂は、株立ちになる謎を解き明かしてくれる貴重なカツラ巨木です。

(67-1) 神社跡に立つ桂

 急な坂道を十分余り登って行くと、スギ造林の向こうに、明らかにスギとは雰囲気が違う木立が見えてきました。
 小さい鳥居も見えますから、どうやらそこが大桂が有ると聞く大元神社跡でしょう。

  

 (67-2) 巨大な株立ちの桂

 近づいて見るとその大きさに圧倒される巨大な株立ちの桂です。 直径30〜40cmの十数本の桂の木が、まるで神の手で植えたかのようにきれいな円形に並んでいる様は霊感が漂い、感動せずにはおれません。後で調べたのですが、株周り約12m、樹高約32mあり、県下では類を見ない大きさです。

 桂は古来、たたら(砂鉄から鉄を作る事業)の神様 金屋古神社の御神木として崇められてきました。このような立派な桂が有ることは、この地でもかってたたらが営まれていたのでしょう。

 全国の巨樹巨木の中で、桂の巨木は株立ちになっているものが多いようですが、どうして桂はこのような見事な株立ちになるのでしょうか。
 

  

  (67-3) 主幹が倒れたままの桂
 
  桂の木の裏側に廻ってみるとその謎が解けました。主幹が根元から倒れ、倒れた幹がそのまま残っています。桂は根元から彦生(ひこばえ)が出やすい樹木ですが、主幹が倒れその周りの多数の彦生えが大きくなる様子が良く分かります。
すでに大きな株立ちになっている桂は他でも見られますが、このように倒れた主幹がそのまま残り、世代交代が進行中のところを見れる桂は、非常に貴重ではないでしょうか。

  

(67-4) 幻想的な桂の葉

 見上げるとハート形をした桂の葉が、数珠の様につながり、葉を通して差し込む光が幻想的な雰囲気を生み出しています。 秋の黄葉もさぞみごとなことでしょう。
  

    

  (67-5) たたらを連想させる桂
 
  桂は渓流を好んで立つと言われていますが、ここの桂でもすぐ脇を小さな谷川が流れています。むかし”たたら”では砂鉄を採るための「かんな流し」がさかんに行われていたようですが、この谷川でもかんな流しがおこなわれていたのでしょうか。
霊感漂う巨大な株立ち、葉が醸し出す幻想的な雰囲気、たたらに必要な渓流好みなどなど、桂が”たたら”の神様 金屋古神の御神木とされた謎は深まるばかりです。

  

   樹木写真の属性
 樹  種 カツラ(桂)  [カツラ科カツラ属]

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 樹木の所在地  島根県大田市温泉津町井尻
 撮影年月   2014年10月
 投稿者 圓山 達雄  
木村 樹太郎 
 投稿者住所  島根県邑智郡川本町田窪
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