(71) 地域の古い歴史を語り伝える
湯布院・大杵社の大杉


湯布院は奈良時代に編纂された「豊後風土記」にその名が登場するほどの歴史ある土地柄であるが、湯布院の大杵社(おおごしゃ)にはその地の古い歴史の生き証人であるかのような、杉巨木がそびえている。

      

(71-1)大杵社の大杉

 大杵社は湯布院駅の南1kmにあり、忘れられたような小さな神社ではあるが、境内にはこの社の歴史の古さを物語る数本の杉の大木が立っている。
 その中でひときわ高くそびえているのが「大杵社の大杉」と呼ばれる杉巨木である。

 幹周り11m、樹高35m、大分県一の杉巨木であり、国の天然記念物に指定されている。

 

(71-2) 大杵社 

 「大杵社(おおごしゃ)」は湯布院の守り神とされる宇奈岐日女(うなぎひめ)神社の末社とされる。

 ここで大杵社と書いたが、辞書によると「杵」の字は「きね」であり「ご」とは読まない。

 この神社にお参りすると、現地の表示には禾(のぎへん)に午(うま)の字があり、また神社の前面の軒下には禾に午の代わりに牛(うし)が書いてあり、いずれの文字も辞書には出ていない。

 やむを得ず、インターネット等では杵(きね)の字が代用され、大杵社と書いてあるが、しかし、これでは「おおごしゃ」とは読めない。

 

(71-3) 歴史を感じさせるコブ

 この杉の古木の樹齢は1000年以上とされ、これだけ古い樹木になると表面に「こぶ」のような突起が多くみられる。これは人間も年をとると「こぶ」や「いぼ」ができるのと同じことかと、妙な納得をしたものだ。

  

  (71-4) パワーあふれる大杉
それにしても、周囲の深い森に囲まれて1000年以上も育ってこれだけ立派な樹木となり、これが威風堂々と周囲を圧倒している様子はいかにも「パワースポット」と呼ぶに相応しい。しめ縄により、尚更、貫禄が感じられる。
 

  

(71-5) 根元の空洞

 この樹木の裏に廻ると空洞があり、今は木枠のふたがある。聞くところによると、かつて、ホームレスがこの空洞に住み、「
ぼや」を出したという。

 この大杉は過去に何度か火災に会い、明治30年の火災では10日間も燃え続けたが、この時の煤が幹の腐食を食い止める役をし、それまで年々衰えて枯れそうになっていた杉が、また元気になり蘇ったそうである。
 火災と言う災いを生命力に変えるなどは、この大杉の霊力の表れであろう。

  

   樹木写真の属性
 樹  種 スギ(杉)  [スギ科スギ属]

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 樹木の所在地 大分県湯布市湯布院町川南
 撮影年月  2015年8月
 投稿者   殿塚 勳  
 投稿者住所 広島市佐伯区楽々園
 その他