(79) 樹木を慈しみ育てる文化風土を伝える
島根県・金城町の杉巨木群

島根県・旧金城町(現浜田市金城町)は50件を超える県・町指定天然記念物(樹木)を擁すなど、樹木を慈しみ育てる文化風土のあるところです。
金城町の多くの巨木・銘木の中でも波佐常磐山八幡宮の杉巨木群は圧巻であり、訪れる人を感動させること間違いなしでしょう。 ここでは八幡宮の5本の杉巨木を、大きい方から順に一郎大杉、二郎大杉・・・五郎大杉と呼んで紹介します。

        

(79-1) 波佐常磐山八幡宮遠景

 国道186号線を通って金城町波佐地区に入ると、遠くの山際に波佐常磐山八幡宮の屋根が見えて来ます。
 八幡宮の回りには杉巨木特有のテッペンが丸い杉大木が多数見られ、さらにその周辺にはブロッコリーの様にもくもくとした樹冠の常緑樹も多数見られ、この神社が豊かな樹木に囲まれていることが良くわかります。

  

(79-2) 神社のシンボルツリー四郎大杉

 本殿前に四郎大杉(幹周:4.88m、樹高28m、推定樹齢500年)が立っています。
 公称値では幹の直径が約1.6mですが、実際はもっと大きいのではないかと思われる程で、近づいてみるとその大きさに圧倒されます。

ロールオーバー画像(マウスポインタを画像に合わせると、画像が変わります):

 (左写真:左が四郎大杉、右が五郎大杉)
 四郎大杉はその大きさもさることながら、枝葉を勢いよく伸ばした旺盛な樹勢と、スラリと伸びた樹形の美しさから、この神社のシンボルツリー的な存在です。

  

(79-3) 裏山にそびえる一郎・三郎大杉

 本殿背後の急な斜面の上に、3本の杉巨木が立っています。左写真は最も大きな一郎大杉(幹周:8.05m、樹高32m、推定樹齢800年)とそのすぐ脇に立つ三郎大杉(幹周:6.0m、樹高27m、推定樹齢800年)です。
 一郎大杉は全国的にも有数の巨樹として、日本老樹銘木に指定されています。

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 裏山には杉巨木だけではなく、20本余りのウラジロガシ巨木も林立し、直径1m以上は有ると思われる倒木も多数横たわり、さながら原生林の趣です。
 そのような中で一郎大杉と三郎大杉は並び立つ一際大きな存在であり、2本の杉巨木の間に立つと、深い谷底に入った感じがします。

    

  (76-4) 若い杉と融合合体する二郎大杉
 
  裏山に立つもう一本の二郎大杉(幹周:7.22m、樹高32m、推定樹齢800年)も茂みの中にドッシリと立ち、辺りを圧する巨木です。この大杉は近くに育った杉の若木と融合合体し、根もとから二幹に分かれている様に見えます。

  

(79-5) 太い蔓を付けた五郎大杉

 神社入り口脇に五郎大杉(幹周:4.37m、樹高22m、推定樹齢500年)が立っています。この種の巨木には珍しく、太い蔓が巻き付いています。普通、蔓が巻き付くと樹木の生育に悪いので、小さいうちに除去されてしまいますが、ここでは蔓を邪魔者とするのではなく、杉と共に大きく育っています。生きとし生ける全ての樹木を大事に守り育てて来た地域の人々の気風の表れでしょう。

  

  

   樹木写真の属性
 樹  種  スギ(杉) [スギ科スギ属]

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 樹木の所在地  島根県浜田市金城町波佐イ577番地 
 撮影年月   2015年12月
 投稿者 (1)田中 浩正 
(2)木村 樹太郎 
 投稿者住所 (1)東京都八王子市横山町 
(2)島根県邑智郡川本町
 その他